にい


「晴明」
 夜。優しく、戸から響いた。すぐ、招きに備える。
 戸の位置は、変える。招きし客を、呼びたい。夜が、包む。私の、傍で呼吸するのだ。
「休んでくれ。天狗」
 彼といられる、日は深まった。残りを、ふたりで庇護しよう。
 戸は、返る。ふたりで、いられる場所に和んだ。夜が、そっと祝す。
「無論だ」
 天狗は、小さく呼吸する。嬉しさに、少し止まった。すぐ、居室は駆使する。そっと、歩く。
 今日は、二月十四日。バレンタインデーだ。泰明や泰継が眠るとき。ふたりで、祝す。静かに、決めた。
「では、和みたい」
 すぐ、見つめ伝える。品は、与える。リキュールを使った、ショコラだ。
「承知しよう。ほら。作ったぞ」
 すぐ、居室が見られる。移った。そして、渡される。
 品は、そっと持つ。天狗から、贈られた。包みに和み、少し呼吸する。そして、掃った。
 珈琲とラム酒の香り。和らぐ。少し、呼吸する。ガナッシュだ。
 すぐ、承知する。そして、品は持った。唇を寄せる。
 安らいだ。
「ありがとう。酔わせてくれ」
 嬉しい。居室で、和んだ。隣の彼に、接する。
 幸せだが、アルコールは低い。他のことで、酔わせてくれると愛しさが募る。
「――少し、待つか。安らいだ」
 微笑み、ショコラを見ることは止め、腕が移った。天狗に、包まれる。
 チョコレートは、香った。幸せな、とき。彼も、いてくれる。
「天狗」
 私の準備は、済んだ。彼を、見る。
「ありがとう。酔ったぞ。移れるか?」
 天狗は、頷いた。
 酔ったとき。眠る場所に包まれるほうがきっと癒される。
「腕は、少し移してくれ」
「分かった」
 包む腕が遠くに見える。寂しいが、耐える。
「安らぐ、ときだ」
 そっと、呼吸する。
 ふたりで、歩く。私の室に。傍で、祝福だ。

「しばらく、酔えるな」
 眠る場所に、腰は守られる。彼の言葉だ。頷きを、見せる。
「……素晴らしい日だ」
 ふたりで、包まれ酔える。幸せなことだ。
 唇が、寄せられる。塞がれることは、恐ろしくない。瞳も、闇で守る。堪能、する。
 そして。
 服の裾が強く引かれ、取られるようだ。嬉しい。天狗に、頷いた。


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